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第71話 放たれた矢のように

作者: フクロウ
last update 公開日: 2026-03-29 19:00:56

 乃愛の手が美月の手を握り返してきた。両手で力いっぱい引っ張り上げると、大量の蟲の絨毯の中から乃愛の体を引き起こすことができた。蟲がボタボタと体中から離れていき、美月は新鮮な空気を大きく吸い込んだ。

「乃愛! 行こうっ!」

 階段目掛けて乃愛の手を引っ張るもの、|重石《おもし》のように動かない。どう引っ張ろうにも乃愛は体を動かすことができないのか、全く進むことができなかった。

「古塚さん! 先に行ってください!」

 二俣が乃愛を後ろから抱き留めた。美月は乃愛を見つめる。暗くて表情までは読み取れないが、首の辺りからかなり血が出ているのはよくわかった。

「そんな! でも──」

「早く祠に人形を! 呪いを終わらせてください!」

 掴んだ手を離すことができなかった。乃愛の手は温かい。離してしまえばも

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